冴えない社会人の恋人探しの旅

冴えないサラリーマンのリアルを綴る。雑記多め。名古屋→東京へ転職を機に帰還。彼女探しの旅なう

18の僕が淡い恋をした話

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思い出話。



今年の盆休みは実家(地方)に帰省をしていた。




気分転換に部屋の片付けをしていたら
机の中から「学業守」の御守りを見つけた。


遠く離れた湯島天神の御守りだった。



御守りを手にとり、記憶を遡る。




思い出した。




これは僕が買ったものではない。
大切な人から合格祈願に貰ったものだ。



もう何年も前の話になるが、
18歳の頃の淡い思い出がある。



会ったこともない君に恋をした話だ。





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18の春。




同級生達がスーツを買い、
胸を弾ませながら大学の入学式に参加している頃。

僕は目の前の参考書と向かい合っていた。



受験戦争に敗れたことで、浪人生というレッテルを
貼られ浮かばない生活を送っていた。



人生初めての挫折。
ひたすら勉強尽くしの毎日で
満たされない日々を過ごしていた。


幸い、周りに浪人仲間も何人かいたので、
気を病むまでは行かなかったものの、


夜になるとどうしようもない
寂しさと虚しさに襲われた。



そこで安直だったがネットに救いを求めた。



@メル友



僕が使っていたメル友サイトだ。


当時はマッチングアプリジモティーなどもなく
メル友募集の掲示板が少し流行っていた。

※調べてみたらまだサイトは残っていた。



掲示板に受験仲間のメル友を募集かけた。



そこで募集を見てメッセージをくれたのが
「はるかちゃん」だった。


はるかちゃんは僕の1個年下で高3の代。


サイト内でメッセージのやり取りが始まり、
お互い初めは遠慮しがちであったものの
第一志望が同ランクの大学だっため意気投合した。



すぐに直メールに移行して毎日のラリーが始まる。


メールのラリーをしていくなかで
彼女の文面に大きな違和感を感じた。
そりゃそうだ。


彼女は東京に住む高校生だった。


今となっては何の違和感もないが、
方言で訛りまくっていた18の僕にとって
標準語は物凄くヘンテコな文面に見えた。


東京の人と話す機会なんて滅多になかったので
勉強以外にも沢山の話をした。


乃木坂46の握手会に行った話や
竹下通りで偶然芸能人と逢った話など。


田舎者にはどの話も斬新で刺激的で
都会に住む彼女がキラキラして見えた。


その頃からだろうか。
東京に強い憧れを持つようになったのは。



まるで「君の名は。」の三葉と瀧の様だが、
勉強以外やることがなかったので
メールのやり取りが何よりも楽しみだった。



あっという間に夏が過ぎ、秋になった。



お互い受験モードに入る。



メールをする時間を減らすために、
2人でルールを作った。



・基本のやり取りは1日1通ずつのラリーのみ
・ただし毎週日曜の夜22時から30分間だけ電話でお互いの近況を報告する



彼女とのメールの頻度が減り寂しかったが、
週に1度の電話を楽しみに我武者羅に勉強した。



冬になった。




入試まであと少し。



彼女は少しだけ精神的に不安定なところがあり、
模試の結果が悪かった時や自信を無くした時に
電話で急に泣き出してしまうことがあった。



その度に絶対合格しようとお互いを励ましあう。



彼女のことを放っておくことができなかった。


今思えば、メル友の関係から少しずつ僕にとって
愛しい存在へと変わっていった。


ネット恋愛なんて勿論したことがないし
自分でも認めたくなかったことだったが、

1度も会ったことのない彼女のことが
好きになっていた。



年が明ける。
彼女からあけおめメールと共に、
郵便番号と住所を聞いてきた。


年賀状を送ってくれるのかなと思っていたが
違った。


湯島天神で2人分の御守りを買ってきてくれて
その御守りを郵送してくれたのだ。


これをお互い鞄につけて合格を目指そう。


そんな話をした。



第一志望の受験の前日には、
お互いゲリラ的に電話をかけあって
エールを贈り合うというルール破りもした。


お陰でリラックスして入試に挑むことができた。



結果、お互いが第一志望の大学に合格。



お互い合格報告をした時、電話越しに
2人とも感極まって号泣してしまった。



その際、勇気を振り絞り、震える声で
彼女のことが気になっていると伝えた。



嬉しいことに彼女も同じだと言ってくれた。



2人の想いが同じであったことを共有できただけで本当に幸せな気分になった。




そして春がきた。大学1年の4月。
遂に上京することに。



やっと彼女が住む街、東京に来ることができた。



その後も彼女とのやり取りは続く。


その頃はガラケーからスマホに買い換えたことで
LINEでトークするようになった。



東京のことについて何も知らなかったので
おすすめのカフェやラーメン屋を
沢山教えてもらった。



その他にも
入学式や学食の写真を交換したり
どのサークルに入るか相談したり
カッコいい先輩や美人な先輩の話もした。


再び毎日連絡を取るように。



ただ、物理的な距離は近づいたのにも関わらず
会ってみようと誘うことはできなかった。


会ってしまうことで
今の関係が崩れることが何よりも怖かったのだ。



自分に極端に自信がなかった。


会ってみたい。あわよくば彼女にしたい。
でも会って嫌われたらどうしよう。
そもそも会ってくれないんじゃないか。



ネガティブな自分が邪魔をした。



会いたい気持ちをグッと押さえ込んだ。




大学1年の夏になる。


彼女はいわゆるイケてるテニサーに入った。
髪は明るくなり、服装も派手になった。


陰キャだった自分とは違う世界に行った気がした。


僕もサークルに入り、バイトを始めたりして
自然とLINEの頻度も減ってきた。



暫くしてはるかちゃんには彼氏ができた。



彼氏が出来て悔しくなかったのかと言われれば
嘘になるのだが、
彼女の幸せが自分事のように嬉しかった。


気を使った僕が連絡を控えたことで
疎遠になる。



僕にも恋人が出来たりして
少しずつ彼女のことが頭から薄れていった。





時は過ぎ、
大学4年の5月。


そう、就活シーズン。



急に彼女から連絡が来た。



就活の相談だった。


話を聞いてみると、面接やエントリーシート
上手くいかなくて落ち込んでいるとのこと。


4年前のあの頃のように
彼女は弱気になっていた。



全然成長してねえじゃないかと思いながらも
なんだか昔の僕らに戻ったような気がして
正直嬉しかった。


電話をして、お互いにエールを送りあって
直ぐにやり取りは終わった。




また暫くの時が経った。
卒業式を控えた3月。



彼女から卒業できるの?と連絡がきた。


直ぐに電話をかけてお互いの近況報告をする。


彼女は高校生の頃から目指していると言っていた
大手旅行会社に就職するらしい。


お互い働く場所がちゃんと見つかって良かったねと
笑いながら話をした。



1時間ほど電話をしてやり取りは終わった。


仕事で辛いことがあったら愚痴り合おうね。

なんて話をして電話を切ったことを
鮮明に覚えている。



それが彼女との最後のやり取りとなった。





それ以降彼女から連絡が来ることは
1度もなかった。



反対に僕からも連絡はしなかった。










いや、嘘だ。




仕事で落ち込んだ時、
1度だけ彼女にLINEをした。


だか、そのメッセージには既読がつかなかった。


ブロックはされていなかったので、
非表示にされているか、
アカウントを変えたかのどっちかだろう。



アイコンがずっと変わっていないので、
後者だと願っている。



連絡を取れなくなったことはとても哀しいが、

彼女自身が僕の助けを必要にならないぐらい
強くなったんだと自分に言い聞かせた。



もう彼女に電話するもLINEすることもない。
永遠の別れである。



吐き出すことのできない彼女へのメッセージを
最後にこのブログに書き留めておこうと思う。




はるかちゃん
元気にしてますか?仕事上手くいってる?
僕はなんとか元気に頑張ってます。



願わくば。


僕があの御守りを見つけて君を思い出したように
君も御守りを見て、ちょっとでもいいから
僕のことを思い出してくれたら嬉しい。





-18の僕が淡い恋をした話。fin-