『リプトン』に魅せられて
陽が陰る黄昏どき。
朝からずっと営業活動。
商談は上手くいかず、散々な1日を過ごした。
長時間の運転に疲れた僕は、
束の間の休憩のために、コンビニへ寄る。
駐車場に車を停め、車内から降りると
高校生らしき男の子2人が壁に腰かけて
何かを飲んでいる。
紙パックに特徴的なパッケージ。
リプトンのミルクティーだった。
久しぶりに見たリプトン。
そう言えば最近テレビCMも見かけなくなった。
昔はよく飲んだっけ。
高校生時代の自分が走馬灯のように
頭のなかを駆け巡る。
あの頃からもう8年が経った。
文化祭の準備や修学旅行、体育祭
塾の休憩時間や部活終わりの一服。
初めて気になる子と一緒に駅まで歩いたあの日。
刻まれた1ページ1ページの淡い想い出。
僕の片手にはいつも、
ストローが刺さったリプトンがあった。
今の高校生に人気なのはタピオカミルクティーや
スタバのフラペチーノであると思うが、
8年前ド田舎の高校生にとってのオシャレドリンクはリプトンとマウントレーニアだったのだ。
高校生の差し入れ定番ドリンク。
それぐらいポピュラーで万人受けした。
ちなみに元ZOZOの前澤氏と復縁で話題の
剛力彩芽がヒットするきっかけになったのも
実はリプトンのテレビコマーシャルからだった。
どこのコンビニでも売っている税込105円の
リプトンはいつもお金がない僕の味方だった。
流行に乗っていることが嬉しくて
くだらない自己承認欲求を満たしていた。
しかし高校を卒業をしてからというものの、
コンビニに行ってもリプトンを買わなくなった。
大学生になってからは、
モンスターエナジーやストロングゼロ。
そして社会人になった現在の僕は
100円コーヒーを買うためにコンビニに来た。
気付けば大人になってしまった。
5分後コンビニから出てきた、
僕の手にはリプトンが握られていた。
久しぶりのリプトン。
外で飲むのは何となく恥ずかしかったので、
車内に乗り込む。
あの頃の様に紙パックの口を開けて、
ストローを刺して飲む。
!?
今の僕には甘すぎた。。。