冴えない社会人の恋人探しの旅

冴えないサラリーマンのリアルを綴る。雑記多め。名古屋→東京へ転職を機に帰還。彼女探しの旅なう

中途同期が3週間で会社をやめた

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今日はちょっと暗めの話になる。
今春に転職を経験してからの話だ。




肌寒さが残る朝。
その日は転職先での初出勤だった。


卸したてのスーツに厚めの
コートを羽織って玄関を出る。


眠い目を擦りながら
しばらく満員電車に揺られ
会社の最寄り駅に到着。


オフィスまで徒歩で移動し、
人事部が指定した場所で待機する。


沢山の人が目の前を行き来している。
この集団の中で働くのか・・
ふと急に不安が襲ってきた。



暫くしてから1人の男性が
待ち合わせ場所に現れた。


人事部の人かなと思って話かけると
筆者と同じ本日入社の中途社員だった。


その彼こそ筆者の中途同期となる
A君である。


A君とは同い年かつ同じ部署への
配属となることが分かり、
初めから話が弾んだ。



同じ境遇の仲間がいるだけで
気持ち的にもリラックスできた。


その後、人事部の担当者と合流し
30分程度の簡単な研修を受けてから
すぐに営業所へと配属された。


会社や商品についての研修は
全くなかった。


何も分からない状態での
配属となったため、正直不安だった。


しかしながら、
入社してからの1週間は先輩社員から
付きっきりでOJTをしてもらった。


上司も先輩も優しい人ばかりで
その時は働きやすい職場だなと思った。


19時過ぎには退社できたので、
毎回A君と一緒に途中まで帰った。


本当なら飲みにでも行きたかったが、
生憎、東京は緊急事態宣言中。
店はどこもやっていなかった。


A君は前職で某有名企業で働いていた。
仕事のスキルもコミュニケーション力も高かった。


ただ、中途同期ということもあり
コイツには負けたくないという気持ちが
筆者の闘争心とやる気を掻き立てた。


入社2週目に入ると
担当の引き継ぎが始まる。


まだ分からないことばかりなのに、
ずくに担当を持つことに
ちょっと早くないかとも思ったが、
中途入社だから即戦力を
求めらても仕方ないと
自分に言い聞かせた。


仕事のボリュームも大きく、
退社時間は日に日に遅くなった。


この頃からA君の元気が
なくなっていった気がする。


引き継ぎが一通り終わると
よく言えば一人立ち、
悪く言えばほったらかしになった。


取引先や社内の他部署から
バンバン問い合わせは来るし、
売上に関しても指示が入る。


商談も1人で行かなければならない。


上司や先輩からのフォローも
急激に減った。


全員の業務量が多くて、
中途社員に構っている余裕が
なかったんだと思う。


『中途社員なんだからそのぐらいできて当たり前だろ。』



みんな直接口には出さないが
本音が聞こえてきそうだった。


周りに置いていかれないように
必死に仕事をした。
覚えたことは必死に復習した。


A君も同様に苦労していた。


前職の社風と比べてギャップを
感じていたようだった。
たまに会社の不満を言うようになった。


また、A君の担当先はクレームが多い
厄介な取引先だった。


クレーム対応に追われて
明らかに表情がやつれていった。


分からないことを教えあったり
励ましあったりしていたが、
それでもお互いが今後について
若干の不安を感じ始めていた。



入社3週目の水曜日。
その日の退社時間は20時半。


いつも通り、
A君と駅まで一緒に帰る。


緊急事態宣言が明けたら
飲みにいく予定をたてようと話をした。


A君は笑顔でマジで行こうなと
返事をした。


そしてお互いがそれぞれの電車に
乗り込んで帰路に着いた。


忘れもしないその翌日。

朝礼の時間になっても、
A君は出社しなかった。


体調崩したんかなーなんて
他の同僚と話をしていた。


しばらくすると、
上司が青ざめた顔で現れた。
すぐに部署全員が集められる。


「突然の話で申し訳ないんだけど、A君が会社やめることになった・・」


上司は重々しく言いはなった。


急すぎて頭の中が真っ白になった。
周りがざわめく。


昨日一緒に帰っていた筆者に
対してもA君の事情を聞かれたが
本当に何も知らなかったので、
正直に答えた。


どうやらA君が会社に
来ることはもう1度もないらしい。


これから一緒に頑張ろうと
励ましあった仲間が急に消えてしまい
気持ちの整理がつかなかった。


色々と考えた末に
A君に感謝のLINEを送ることにした。


お節介かもしれないが、
短い期間だけど色々と助けあったから
最後にお礼だけ伝えたかった。


ただ、送ったLINEに対して
既読が付くことはなかった。


中途同期の仲間が辞めてしまい、
筆者の不安も日々大きくなっていった。


正直、ベースの業務量も多いし
土日も電話がかかってきて休めない。


一層のこと、自分も辞めようかなとも
思ったりした。


ただ、自分自身で覚悟を決めて
選んだ会社だからもう少し頑張ろう。


そんな決意が根底にあったからこそ
なんとか今日まで挫けずに
仕事を続けることができている。


最近はようやく仕事の要領も
掴めてきたし、やりがいも感じている。



A君は今頃元気にしているだろうか。
もう他の会社で働いてるだろうか。


彼が何をもって辞めたのか。
いつ辞めることを決意したのか。


その答えは未だ分からない。


ただ、少なくともA君や筆者自身が
転職を通じて感じたことがある。


それは
中途入社の社員に対して
周りは想像以上に興味がない。


可愛い女の子だったら
話は変わるかもしれないが、
自分達は所詮穴埋め要因である。


日本社会の殆どは未だプロパー主義。


中途社員はあくまで即戦力。
その立場を理解しなければならない。


だから、新入社員のように丁寧に
研修して貰えるわけでもなく、
愛情をもって指導してくれることもない。


自らが考え、動いて
成長しなければならないのだ。


周りに付いていけなければ、
左遷されたり、干されるだけである。


転職する上でその扱いを受ける
覚悟をしなければならなかった。


現に、A君がいなくなった穴埋めとして、
また中途社員が入社するらしい。


今では職場でA君の話題が出ることもなく
完全に忘れ去られた過去の話になった。


自分が置かれている現状を好転
させるために転職することは
確かに有力な方法であるが、

別の環境に移るということは、
その環境で求められている役割に
自分自身が変化しないといけない。





職場を変えることは
則ち自分自身を変えること。


それが転職であると思った。


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